ブルーマーリンではナイトロックスを2012年10月に導入しました。ナイトロックスを使用するにはスペシャリティ・ライセンスが必要ですが、とても簡単な講習で取得することができます。
通常のダイビングで使用しているタンクには空気が入っています。一方空気よりも、酸素が多く配合されているタンクのことをナイトロックス(エンリッチドエア)と言います。
通常の空気は酸素分圧21%、窒素78%ですが、ブルーマーリンでは自社の充填所でチャージした酸素分圧32%、窒素67%のナイトロックス(EAN32)を使用します。
パラオ、ブルーマーリンでナイトロックスダイバーになって、より快適なダイビングを始めてみませんか!!ブルーマーリンでは無料でナイトロックスを利用できます。
メリット1 減圧症への予防効果が高い
メリット2(水面休息時間の短縮)
メリット3(無減圧限界時間の延長)
ナイトロックスを使用する最大の利点は上記のメリット1「減圧症の予防に大変効果的」という点であると考えています。減圧症の予防の観点からダイビングガイドは基本的にはナイトロックスを使用します。
ただダイビングスケジュールは通常の空気を使用した場合に合わせます。確かにナイトロックスを使用すれば、無減圧限界時間が長いため、通常のダイビングよりも長く潜ることができます。また水面休息時間を短くすることもできます。しかしそれはナイトロックスの最大のメリットと考えている「減圧症の予防効果」という利点を小さくしてしまいます。
ブルーマーリンでは「減圧症の予防効果」を最大限発揮することを目的にナイトロックスを導入しています。長時間の潜水等を目的としている訳ではありませんのでご了承ください。
*通常の空気を使用したダイビングでも減圧症になる可能性は非常に低いことを忘れないでください。逆に「ナイトロックスを使用すれば減圧症にかからない」という訳でもありません。減圧症の予防には下記の点が重要です。
1.無減圧潜水時間ギリギリまで潜らない
2.適切なダイビングプロフィールで潜る
3.ゆっくりとした浮上速度を守る
4.水中で激しい動きをしない
5.脱水症状やアルコールの摂取を避ける
ナイトロックス(エンリッチドエア)を使用するにはスペシャリティを取得する必要があります。ブルーマーリンでは現在2パターンの取得方法があります。1つ目は現地(パラオ)にて自習をする方法。2つ目は日本にてe-learningを利用して自習する方法です。どちらも現地にてインストラクターの指導の元、テストの答え合わせとシュミレーションをする必要がありますが、パラオでの負担を減らせる2つ目の方法がお勧めです。
1.パラオで全て行う場合ー295ドル
料金に含まれるもの・・・講習費、教材費(テキスト)、申請料
*ダイビング料金は含まれていません。通常のダイビング料金に追加で講習費用として295ドルかかります。
〜スケジュール〜
(1日目)
- 朝の受付時にエンリッチコース参加申込書に記入してもらう
- ダイビングは通常のエアータンクを使用し、普通にダイビングを行う
- 帰港後、テキスト、DVDを使用して自習し練習問題およびナレッジリビューを完成してもらう
(2日目)
- 出港後、ボート上にてガス分析、ダイビングコンピューター設定、充填ログ記入を行う
- ナイトロックスを利用して2本以上ダイビングする。
- 帰港後、クイックリビューの答え合わせ、申請手続き
- 後日PADIアメリカよりライセンスが自宅に届く
2.E-LEARNINGの場合ーE-LEARNING料金のみ必要です。現地講習料は無料です。
・E-LEARNING料金に含まれるもの・・・オンライン講習費、申請料
・現地では追加のテストやコース終了後の申請、学習内容のフォローなどさせていただきます。
*ダイビング料金は含まれていません。通常のダイビング料金に追加で上記料金がかかります。
〜スケジュール〜
(1日目)
- 朝の受付時にエンリッチコース参加申込書に記入してもらう
- 出港後、ボート上にてガス分析、ダイビングコンピューター設定、充填ログ記入を行う
- ナイトロックスを利用して2本以上ダイビングする。
- ランチタイムにクイックリビュー(テスト)をおこなう。
- 帰港後、答え合わせ、申請手続き
- 後日PADIアメリカよりライセンスが自宅に届く
1.無減圧限界時間の違い
ブルーマーリンで使用するナイトロックス(EAN32)は酸素分圧32%、窒素分圧67%になります。一方通常の空気は酸素分圧は21%、窒素分圧78%です。通常の空気よりも窒素の量が少ないため、ダイビングによる窒素の影響も少なくなります。そのため無減圧限界時間が通常の空気よりも長くなります。以下は水深毎に空気とEAN32を比較した表になります。
深度 | 空気 無減圧限界時間 |
EAN32 無減圧限界時間 |
18メートル | 56分 | 95分 |
22メートル | 37分 | 60分 |
2.酸素の影響について
ナイトロックスを使用する際には酸素の影響について知っておく必要があります。空気よりも酸素分圧の高いEAN32を使用することで、空気ではほとんど考慮する必要がなかった酸素中毒の危険性が出てきます。
通常私たちは1気圧の環境で空気を吸っています。その時の酸素の圧力は「1気圧×0.21=0.21気圧」となります。これを酸素分圧0.21ATAといいます。
この酸素分圧が1.6ATAを超えると神経系(急性)酸素中毒の危険性が大きくなることが知られています。そのため、ダイビングでは酸素分圧が1.4ATAを超えないように、配慮する必要があります。
それでは32%のナイトロックスで潜る場合、何メートルまで潜ると1.4ATAに達するか計算してみましょう。
1.4ATA÷0.32ATA=4.375
つまり、水面の4.375倍の気圧がかかる深度=33.75mで1.4ATAになります。
使用タンク | 最大深度(1.4ATA) | 危険深度(1.6ATA) |
空気 | 56m | 66m |
EAN32 | 34m | 40m |
3.ナイトロックスを使用できないダイブサイト
ブルーマーリンでは上記の酸素暴露の危険性を考慮して下記のポイントはナイトロックスは使用せず、空気を使用してダイビングします。(2017年1月現在)
- ペリリューカット&コーナー
- ペリリューエクスプレス
- テールトップリーフGT狙いコース
- カヤンゲルブルーホール