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BLUE MARLIN HISTORY
GALAXY (ギャラクシー )
ギャラクシーと名付けられたポイントのあるリーフを、初めて調査したのは2008年5月の事であった。第一回目の調査メンバーはアーノルド(船長)に石浦・富永・フリン(すでに退職)というダイバー3人の合計4人である。リーフは浅場から深場までコロール周辺では見かけないような見事なサンゴの群生がどこまでも続いていた。ダイバーを見ると雲の子を散らすように逃げまどう魚達の様子といい、ここはまったく人が潜ったことのない場所なのだろう、という感触を受ける。
しかしながら魚影と言う点では散発的にツバメウオの群れや小さなバラクーダの群れ、カンムリブダイの群れやグルクマの群れなどに遭遇したものの、あまり見所がなかった。と、その時背後から1枚のマンタが私達を追い抜いて行った。予想外の場所で出会うマンタは嬉しいものである。ましてや調査ダイビングでのことだ。どこへ向かうのか?あとをつけたいがマンタの遊泳速度は速くダイバーの及ぶところでは無い。すぐに姿を見失ってしまった。その後5分ほどやはり替わり映えのしない光景が続いた。
と、急に魚影が濃くなってきた。中層にはクマザサハナムロやウメイロモドキが大量に群れており、クマザサが躍動するたびに体側のメタリックブルーがキラキラと光る。それがときに壁になり、ときに川のようになって私達を取り巻いた。リーフエッジにはカスミチョウチョウウオ、リーフ上にはヨスジフエダイが群れており彩りがとても綺麗だ。そしてそんなリーフの先では先ほどの個体と思われるマンタが悠然とクリーニングをしているではないか!4mもあるこの巨大なマンタはどこまでも蒼い海をバックに、まわりをキラキラときらめくクマザサハナムロやウメイロモドキに取り囲まれ、カスミチョウチョウウオが舞い、ヨスジフエダイが足元に群れる中、ホンソメワケベラにクリーニングされていたのだった。こんなマンタのクリーニングシーンはいまだかつてパラオで見たことがなかった。なんてゴージャスなクリーニングシーンなんだろう!!!!
私達はただただ息をのんでこの信じられないような光景を眺めていた。そのうちになんだか自分達が宇宙空間にでもいるような感覚に陥ってきた。というのもクマザサハナムロのブルーのきらめきが空に浮かぶ何億とある天体のきらめきのように思えてきたし、マンタはこれからそんな宇宙に飛び立つ宇宙飛行船のように思えてきたのだった。そんな宇宙を感じたようなこの時の私達の感覚は、その後ここで潜ったゲストの方々も感じることのようで、あるリピーターの方からそれまで名無しポイントとして紹介されていたこの場所に対して、「ギャラクシー」というポイント名の提案を受けた。まさに相応しい名前である。こうしてポイント名が決まったのだ。
マンタはその後この場所でクリーニングをしたことはないが、シルバーチップシャークやグレートハンマーヘッドなどが時折姿を見せている。そして何より大量のクマザサハナムロのきらめきは変わらない。やはりそれを何度見ても何度体験しても宇宙に自分が浮かんでいるような感覚にさせてくれる、ここはそんな場所なのだ。